「とにかく今は動く時ではない、サリエルの言った通りに個人行動は避けろ、以上だ」
ミカエルがこの場にいる全員に言う。
すると其処にはもう、ただ一人残して皆消えていた。
「・・・・・・キョウ・・・・・」
その言葉を呟いた人物は、みんなと同じく消えていった。
第十話「決戦!!初号機VSシャムシェル」
シュウジ
シャムシェルが第三東京市の戦闘区域に入る。
その3ブロック後ろに初号機が下から出てきた。
「さあ、いきますか」
初号機は一斉射撃するが、シャムシェルは傷一つつかない。
「やっぱり効かないか・・・」
初号機はパレットライフルを捨てる。
『何捨ててんのよ!!早く拾いなさい!!!』
ミサトは間違った事を言う。
『気にするな、シンイチ。あれの配置図をそちらに出す、それを見て取れ』
キョウがシンイチに指示を出す。
「了解」
初号機は大きくバックステップし、兵装ビルの一つから武器を取る。
「やっぱり術で作るより、これの方が良いや」
そしてその武器を鞘から取り出す。
EVA専用の武器[聖剣ジャスティス]
キョウがアメリカ支部に居た頃作っていた武器の一つである。
シンイチも、この前のように術で日本刀を作れるのだが、それだといちいち面倒なのでこれを開発した。
この剣は西洋の形をしており、キョウがかけた呪術の文字が刀身に刻まれている。
それによって術の威力、強度なども増幅してある。
初号機はジャスティスを天に掲げ構える。
その姿は鎧をつけた騎士のようにも見える。
「さあ、ここからだな」
シンイチは小さく呟いた。
その頃発令所では・・・
「何で勝手に指示出してんのよ!!」
キョウが勝手にシンイチに指示を出したため、怒っている。
「シンイチは技術部所属で俺の管轄。
作戦部所属じゃあないんだな〜これが。今まで黙っていたけどミサトさん、書類読んでないでしょ?」
相変わらずナオコがくっついている事を無視しているキョウが答える。
「ミサトちゃん、知らなかったの?
自己紹介の時もシンイチ君、ちゃんと技術部所属って言っていたわよ」
ナオコもキョウに肩入れする。
「あ・・・・・」
ミサトはやっと自分の間違いに気づいた。
「まぁ、これからも基本的な指示はミサトさんが出してもいいけど、俺がだめだと判断した場合は俺が指示を出す。
戦闘立案能力は買ってるけど、戦闘指示能力はイマイチだからね」
キョウはミサトに言った。
「解りました」
いつものミサトならここで食い下がっただろう。
しかしキョウの実力をミサトは解っていた。
実際リツコに保安部の時のビデオを見させてもらって、ミサトは驚愕した。
ビデオ越しでも解る威圧感、そして殺気。
自分がここにいたら保安部と同じ状態だっただろうと、ミサトはすぐにわかった。
どれだけの修羅場を潜れば、こんな殺気を出せるのだろうと考えるだけで怖かった。
それに戦闘に関しては抜群に良い成績だ、とリツコから聞いて尊敬、とまでは言わないが信頼はしている。
だから戦闘中は敬語で話している。
「(しかし天使に動きはないな、何もなければいいんだが・・・)」
キョウは初号機とシャムシェルが映っているモニターを見つめながらそう思っていた。
「行くよ!!」
シンイチはそう告げて、初号機を急加速させた。
[神楽流"炎術"剣技"一閃"]
初号機が持った剣、ジャスティスを下から縦に振る。
するとジャスティスが振るった方向へ、地面から噴出した火炎がシャムシェルに突き進んでいく。
ボオオオオオオオオォォォォォ!!!!
シャムシェルはまともにくらったかに見えたが、軽い火傷程度しか食らっていない。
「な!!!」
シンイチは驚いた。この攻撃を耐えるほどの防御力は前回持っていなかったのに、シャムシェルはほとんどくらっていない。
となると犯人は・・・
「天使か・・・くそ!!」
シンイチは小さく呟いた。
「これで見極めて見る!!!」
["水氷術"水龍束縛]
初号機から放った水龍がシャムシェルに巻きつき、行動を束縛する。
しかし・・・
シャムシェルの鞭が急激に残像のように多くなり水龍を切断する。
「これがさっきの正体か・・・・」
シンイチは舌打ちをする。
−発令所−
「何?今のは?」
ナオコは発令所にいる全員の疑問を代弁しキョウに質問する。
「鞭の高速化、そして数もあの瞬間四本に増えていたな」
キョウがリツコに質問する。
「鞭の速さは?」
「音速は軽く超えているわね」
リツコは冷静に答えた。
発令所はどよめきに包まれる。
それは仕方ない事だった。なぜなら「音速のボールを避けてください」といわれても出来はずがない。
「シンイチなら大丈夫です。それよりも動揺してないで自分の仕事をしてください」
キョウは全員に聞こえるように言い聞かした。
「(それにしても使徒に何かしたな、天使の奴ら。
あの速さ、攻撃力はかなりアップしているし頭もいい。
もう俺の存在に気づいているか・・・・・・・・)」
シャムシェルの光の鞭が初号機を襲う。
兵装ビルが次々壊れていく、しかし初号機はその変則的な鞭を紙一重でかわしていく。
「これじゃあきりがないな」
初号機が持っている剣、ジャスティスでシャムシェルの鞭を切り落とす。
「さよなら」
シンイチは静かに口にした。
[神楽流"風術"剣技"十字閃"]
ジャスティスから放った十字のカマイタチがシャムシェルに向かっていく。
すぐにシャムシェルはA.T.フィールドを展開するが、初号機によって中和されてしまいすぐに消える。
シャムシェルは新しい鞭を六本出し、そのカマイタチを防ごうとするが十字閃に切り裂かれ本体に当たる。
コアを中心に十字に斬られ、シャムシェルは行動を停止する。
どうやら倒せたようだ。
「ふう、疲れた」
シンイチはそういいながら後ろに寄りかかる。
しかしシンイチは見る限り、全然疲れた様子は無かった。
「「「やった〜〜〜〜!!!」」」
発令所は一斉に叫んだ声でいっぱいになった。
第三使徒サキエルを倒せたからといって、シャムシェルを倒せるという保障は無い。
しかも音速を超える鞭を持つ使徒だ。
倒せないかも、という思いが頭の中をよぎった事だろう。
だから余計に喜んだ、生きているという喜びを・・・
『回収ルートを教えてください』
初号機から通信が入る。
「シンイチ君、Hの12から入ってくれ」
マコトがシンイチに指示を出す。
『了解』
シンイチはそれだけ言って通信を切る。
「あの剣、ジャスティスはどういう作りなの?」
リツコが疑問を投げかける。
「普通にプログナイフと同じ材質で、俺の書いた呪術の文字が彫ってある。
プログナイフのように高振動していませんが攻撃力はいいですよ」
キョウはリツコの質問に答える。
「あぁ、それと明日、司令室で話があるから」
リツコはキョウを疑い目で見る。
何しろまだ完璧に仲間、というわけではないので疑うのは当然の事だ。
「わかりました」
キョウは事務的に答え、発令所をシンジと一緒に出て行った。
「あの子何者なのかしら」
リツコの疑問に
「あら、リッちゃん。ちゃんとキョウ君は言っていたじゃない『術士』だって」
ナオコが答える。
「納得いかないのよ、実際に術は見ているから信じるけどもやっぱりね〜」
「「納得しない」」ってところでしょ?」
ナオコはリツコの言いたいことはばれていた。
だてにナオコも科学者(マッドともいう)をしているわけではない。
最初はリツコと同じになぜか納得できなかった。
しかし世の中にはまだ知らない事がたくさんあると思い知らされた。
出来事は簡単、キョウだ。
ナオコはいつの間にか科学者の視点でしか見ていない事ことに気づいた。
現代では衰退していっている、東洋の考え方をキョウは基本にしている。
自分の中にある隠された『力』を引き出しそれを活用するというもの。
現代は「自分を鍛える」というより「自分の身の回りにあるものを鍛える」というのが主流だ。
エヴァンゲリオンはその集大成ともいえるだろう。
「どういう原理で」というよりも「使えるか使えないか」という実戦的な考え方をしているキョウにとっては
『術』も単なるその副産物に過ぎないと思っている。
その考え方にナオコも共感した、というわけだ。
「この世はまだまだ謎だらけって事かしらね」
リツコはそういってコーヒーを口にした。
その頃キョウとシンジは
「戦闘を見てどうだった?シンジ」
「僕にもあんな事が出来るのかな」
「やって見なくてはわからない、それにシンイチと同じようになんて思わないほうがいい。
人には[得意、不得意]があるんだから、シンジは別の所で伸ばせばいいんだからな」
キョウは言い聞かすようにシンジにいった。
「わかってる」
そんな話をしていると
「お久しぶりですね、キョウさん」
後ろの方から声が聞こえた。
二人は振り返ってみると、其処には流れるような金髪でその髪は腰まで伸ばしている。
身長は170はあるだろう、キョウ達よりもでかく、プロポーションは抜群だ。
目の色は不思議な銀色の瞳で、落ち着いた雰囲気を纏っている。
「お前か・・・・シンジ。ちょっと先にシンイチのところに行っててくれないか?
俺はこいつと話があるから」
キョウはシンジに急かすように言った。
「う、うん。わかった」
シンジはそういって歩いていった。
そしてシンジが見えなくなるとキョウが口を開く。
「まさかお前が来るなんてな、てっきり俺は『ミカエル』だと思ったんだがな『ラファエル』?」
キョウが静かに言った。
「ミカエルさんは忙しいので私が来ました」
ラファエルがそれに答える。
「嘘だな、ミカエルは慎重な奴だ。こんな場面で使いを送るはずがない、何が目的だ?」
「・・・キョウさん、さすがですね。『神の子』の力は衰えてませんね」
「・・・・・何が言いたい・・・・」
「あなたに死んでほしくありません、お願いです。この件から身を引いてください!!」
ラファエルが叫ぶ。
「却下」
キョウは即答した。
「何でですか!?」
「お前は何も分かってない。俺はお前らの仲間になったつもりは毛頭ない」
キョウははき捨てるように言う。
「もう一度言う。天界全員に伝えろ、俺はお前らの仲間でも何でもない。
俺はこちらの味方をする、前のようにはいかないとな」
キョウの目は限りなく冷たい目をしていた。
「戦争の始まりだ」
後書きのようなもの
ついに宣戦布告しました!!天使VS術士の対決の幕開けです。
キョウ達が勝つのか?天使が勝つのか?
キョウの過去も明かしていきますよ〜!